クラブとエージェントとの関係性(FC東京/21年編)

クラブとエージェントとの関係性2021

過去、数多くの代表選手を輩出し、海外へ移籍させたりと国際実績もあるFC東京。

昨年と選手のエージェント事情を調査すると今後のクラブマネジメントに影響する変化が現れたことが分かった。

いつも通り、選手エージェント一覧を確認しながら大きく3つ分けて、気づいた点を解説していく。

クラブとエージェントとの関係性(FC東京/2020夏編)
コロナ影響が未だに残るJリーグが白熱する中、順位4位とまだ優勝が狙える名門「FC東京」 長谷川健太が監督に就任以降、安定した戦術で結果を残し続けている。 というわけで 今回は「FC東京」の各選手と契約しているエージェント(代理人)を一人...
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海外実績 × CAA BASE × 契約交渉2回

監督:長谷川健太⇒? ※ボランチ?

GK:林 彰洋⇒段家 卓也(JPN) ※UDN
GK:波多野 豪⇒段家 卓也(JPN) ※UDN
GK:児玉 剛⇒田邊 伸明(JPN) ※JEB
GK:彼島 優⇒なし?
GK:野澤 大志 ブランドン⇒本田 弘幸(JPN) ※HEROE

DF:森田 翔⇒なし?
DF:Bruno Uvini⇒? ※CAA BASE? クラブ側仲介なし
DF:森重 真人⇒藤田 邦広(JPN) ※UDN
DF:渡辺 剛⇒田邊 伸明(JPN) ※JEB
DF:Joan Oumari⇒Fabio Firmani(ITA) ※ KEYSCOUT FOOTBALL
DF:岡崎 慎⇒西岡 明彦(JPN) ※フットメディア 契約交渉 計2回
DF:蓮川 壮大⇒? ※フットステージ
DF:大森 理生⇒なし?
DF:木村 誠二⇒柳田 佑介(JPN) ※GLOBALL FOOTBIZ CONSULTING
DF:小川 諒也⇒本田 弘幸(JPN) ※HEROE
DF:バングーナガンデ 佳史扶⇒? ※CAA BASE?
DF:中村 拓海⇒田邊 伸明(JPN) ※JEB
DF:中村 帆高⇒中澤 聡太(JPN) ※JSP 契約交渉 計2回

MF:Arthur Silva⇒Fernando Rodriguez Brito(BRA) ※Dodici Sports
MF:梶浦 勇輝⇒なし?
MF:安部 柊斗⇒藤田 邦広(JPN) ※UDN
MF:青木 拓矢⇒佃 ロベルト(JPN) ※スポーツコンサルティングジャパン
MF:高萩 洋次郎⇒田邊 伸明(JPN) ※JEB クラブ側仲介
MF:品田 愛斗⇒宮本 行宏(JPN) ※フットステージ
MF:渡辺 凌磨⇒大野 祐介(JPN) ※アスリートプラス
MF:三田 啓貴⇒佃 ロベルト(JPN) ※スポーツコンサルティングジャパン
MF:東 慶悟⇒佃 ロベルト(JPN) ※スポーツコンサルティングジャパン
MF:内田 宅哉⇒なし?

FW:Leandro?(BRA)※Inovem Comunicação /西真田 佳典 クラブ側仲介
MF:紺野 和也⇒段家 卓也(JPN) ※UDN 契約交渉 計2回
FW:Diego Oliveira⇒Reinaldo da Costa?(BRA)/橋本 幸一
FW:永井 謙佑⇒佐久間 清次(JPN)  ※eAMA クラブ側仲介
FW:AdaíltonJosé Martinez(BRA)等 GR Sport/稲川朝弘 クラブ側仲介
FW:田川 亨介⇒富永 雄輔(JPN) ※CAA BASE

新加入:赤文字
退団:青文字

参考:http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/intermediary/transaction_2020.pdf

UDNのクライアント数が5人と台頭している。
過去2番目の報酬額。
契約交渉2回を行っている選手が多い。

日本エージェント事務所の海外実績

メンバー表を見ての通り、UDNのクライアントが5人で各事務所で一番多く占めている。年々各Jクラブでも影響力が増しており、FC東京でも顕著に現れ始めている。

21年7月、完全移籍で加入した元日本U16代表「鈴木 準弥」もUDN所属の選手。確かに実績が認められて、ステップアップしたようだがエージェント事情を絡めるとUDN側からの売り込みをフロントが受け入れたという構図だろうか?

UDNメンバーは段家 卓也と藤田 邦広中心に経営しているが海外移籍に関しては前者がコネを使って、着々と実績を残している。

例えば元日本代表「香川真司」やベルギー「Royal Antwerp F.C.」へ期限付き移籍した「三好 康児」等。海外エージェントにもUDNの存在が知られ始めており、今後のJリーグに重要な存在となりつつある。ドイツでプレイしている「室屋 成」もUDNのクライアント。

21年2月にクロアチア「NK イストラ (Nogometni Klub Istra)」に移籍した原 大智」について触れておこう。

彼をマネジメントしているのは本田圭祐の兄にあたるHeroe「(21-057)本田 弘幸」であり、スペイン「デポルティーボ・アラベス(Deportivo Alavés)」加入を担当した。

またサポートしてくれていたのがLA Football Consulting」という事務所の存在が大きい(エージェントの名前は不明。NUÑEZ, MORENO Y ASOCIADOS説あり)。

話を原について戻すとアラベスと2023年までの契約を果たしたのが、その数日後、突如ベルギー「STVV」へ期限付き移籍が発表された。アラベスのスポーツディレクター(SD)に「タイチが最高の活躍を成し遂げれば、我々にとって重要な選手になる」と語っていたにもかかわらずだ。

何やら法的な問題が絡んでいたようで移籍のサポートしていた「LA Football Consulting」も、この件についてインスタで何も触れていない。

報酬額が跳ね上がった理由と海外事務所の存在

2015年:21,993,344円
(Firmani Fabio⇒ラサッド ハッサン ヌイウィ “選手契約に関する交渉”)
(今矢 賢一⇒Nathan Burns “選手契約に関する交渉”)
(西真田 佳典⇒Ha Daesung “選手契約に関する交渉”)
(趙 成文⇒ユ インス “選手契約に関する交渉”)

2016年:24,211,335円
(小林 博⇒Utaka Peter “選手契約に関する交渉)
(趙 成文⇒ユ インス “選手契約に関する交渉”)

2017年:38,631,600円
(佐久間 清次⇒永井 謙佑 “選手契約に関する交渉)
(田邊 伸明⇒高萩 洋次郎 “選手契約に関する交渉)
(Yoon Kiyoung⇒Jang Hyun soo “移籍合意に関する交渉” 相手先:広州富力足球倶楽部)
(Yoon Kiyoung⇒Jang Hyun soo “選手契約に関する交渉)

2018年:43,282,500円
(梶野 智⇒Arthur Silva “移籍合意及び選手契約に関する交渉” 相手先:CA Votuporangunse)
(佐久間 清次⇒永井 謙佑 “選手契約に関する交渉)
(橋本 幸一⇒ケイロス ジ オリヴェイラ ディエゴ “選手契約に関する交渉”)
(田邊 伸明⇒高萩 洋次郎 “選手契約に関する交渉”)
(趙 成文⇒ユ インス “選手契約に関する交渉”)
(Bernardes Henrique⇒FERREIRA VIEIRA JAEL “移籍合意及び選手契約に関する交渉” 相手先:Grêmio)
(権畑 クラウジオ⇒LINS LIMA DE BRITO “選手契約に関する交渉”)

2019年:23,255,500円
(西真田 佳典⇒呉 宰碩 “移籍合意及び選手契約の交渉” 相手先:G大阪)
(稲川 朝弘⇒ドス サントス ダ シルバ アダイウトン “選手契約の交渉”)
(佐久間 清次⇒永井 謙佑 “選手契約の交渉”)
(田邊 伸明⇒高萩 洋次郎 “選手契約の交渉”)

2020年:38,948,925
(西真田 佳典⇒Weverson Leandro Oliveira Moura “選手契約の交渉”)
(稲川 朝弘⇒ドス サントス ダ シルバ アダイウトン “選手契約の交渉”)
(佐久間 清次⇒永井 謙佑 “選手契約の交渉”)
(田邊 伸明⇒高萩 洋次郎 “選手契約の交渉”)

 

参考:http://www.jfa.jp/football_family/intermediary/

20年度は既存戦力である選手の交渉での報酬が約4000万円発生している。やはり、年棒も高めであることが伺える。跳ね上がっている要因の一つに元鹿島アントラーズから完全移籍で獲得した「レアンドロ(Leandro)」で発生した報酬によるもの。

今季サウジアラビア「アル イテハド(Al-Ittihad Jeddah)」を退団して以降、フリーだった元ブラジル代表「ブルーノ ウヴィニ(Bruno Uvini)」獲得は大きな話題となった。しかし、蓋を開けるとリーグ戦1試合出場のみでカップ戦要員に甘んじている。

ブルーノはインスタによると海外大手「CAA BASE」が仲介したとある。今回の交渉は↑のクラブ側仲介に関する情報に含まれていないため、FC東京側が直接事務所に報酬を支払ったとされる。

 

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退団のサイン?

JFA仲介人取引一覧2020年度を確認すると中村 帆高、岡崎 慎、紺野 和也の3人に関する契約交渉が2回行われたと明記されている↓。

http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/intermediary/transaction_2020.pdf

ここでいう契約交渉とはエージェントがクライアント側に立って、代わりにクラブと交渉する依頼行為である”選手契約の交渉”を指す。

日本の場合、海外と違い、複数年契約する年棒が必ずもらえるわけではなく、毎シーズン末にクラブの選手評価に応じた契約更新を行う。当然活躍すれば年棒が上がるが、出場が少なかったりすると逆に低めに提示される。Jクラブは来シーズンの予算は来年にならないと分からないという事情が絡んでいるとのこと。


JFAエージェント「(21-327)坂本 英明」がYoutubeで契約について解説している

過去、こういった契約交渉を実施した選手は来シーズン、他クラブへ移籍しているケースが存在する。クライアントの年棒が低くなると当然エージェントに入る収入も減ってしまうので、移籍させて活躍できそうなクラブでプレイした方がいい。だが監督交代等で好転する場合もあるので、過去の選手が移籍しているわけではない。

ここで実際に年度内に契約交渉を2回行った翌年に移籍した選手を一部紹介。

~2015~

・岡田 翔平 (サガン鳥栖⇒ザスパクサツ群馬) ※担当:宮本 行宏
・岡本 英也 (ファジアーノ岡山⇒レノファ山口FC) ※担当:高木 泰裕
・林 裕煥(アルビレックス新潟⇒東京ヴェルディ) ※担当:高木 泰裕 /クラブ側仲介

http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/intermediary/transaction_2015.pdf

~2016~
・小林 成豪(ヴィッセル神戸⇒モンテディオ山形) ※担当:西真田 祥志
・三島 康平(松本山雅FC⇒18年ロアッソ熊本) ※担当:大野 祐介 /17年度交渉なし

http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/intermediary/transaction_2016.pdf

~2017~
・岡野 洵(JEF市原・千葉⇒大分トリニータ⇒JEF市原・千葉) ※担当:三須 彰

http://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/intermediary/transaction_2017.pdf

ACL出場権を賭けて

リーグ戦27試合消化して、ACL出場権が得られる3位鹿島アントラーズとの勝ち点は”5”とまだ十分狙える範囲だ。直近の成績も2連勝と調子を取り戻しつつあるチーム状況であることも好材料。

だが夏の移籍期間で古巣への帰還が期待された「武藤 嘉紀」獲得が失敗に終わり、上記で取り上げた「鈴木 準弥」加入のみ。

コロナ感染を避けつつ、各試合を上手くローテーション出来るかが争点だ。

~~終わり~~

 

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