先日
元ブラジル代表ジョーの退団で移籍先のコリンチャンスと名古屋グランパスの間で
FIFA Dispute Resolution Chamber:以下DRC(FIFA紛争解決室)が仲裁すると発表された。
でも
これってサッカーエージェントと関係ないですよね?
と突っ込まれてしまうかもしれないが実は仲介人制度の前身「エージェント制度」の試験においてDRCも出題範囲内であったこともあり、今回記事にする事にした。
自分が契約している選手が上記のトラブルに遭遇したら
あなたは上手く対応することが出来ますか?
てなことにならないように
軽くでもいいんで寄って見てくだせえ。
概要とFAQ
DRCはFIFAの決定機関であり、選手とクラブの代表と間に仲裁と紛争解決を解決する事を目的としている。
メンバー表もHPに存在し現在トップの指揮を任されているとされているのが
チェアマン「Geoff THOMPSON 」であることまで分かってしまう。
https://resources.fifa.com/image/upload/members-of-the-dispute-resolution-chamber.pdf?cloudid=gmjwpe06xujqkz1ztaah
この方は今年74歳と高齢で元FA会長でUEFAとFIFA両方の副会長でもあった人物である。
HPにはFAQも存在しPDFファイルで閲覧することが可能。
https://resources.fifa.com/image/upload/faq-employment-related-disputes-between-a-player-and-a-club-of-an-inte-2773371.pdf?cloudid=n1gim9isrmohvzq93kku
いくつか質問がある中で
個人的に気になったものをチョイスすると
2.クレームはどの言語で提出できますか?
↓
DRCに提出されたすべての文書は、次のいずれかに記述または翻訳する必要があります。4つの公式FIFA言語(英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語)。4.申し立ての提出期限はいつですか?↓
イベントが発生してから“2年以内”にDRCに申し立てを提出する必要があります。上記の期限の関連する日付は、請求が行われた日付ですファックス、普通郵便、または宅配便のいずれかでFIFAが受け取ります。5.前に支払われるべき債務手続きはどのくらいですか?
↓
雇用関連の延滞債務紛争に関連するDRCの訴訟国際的な次元のプレーヤーとクラブの間は無料です。10. DRCの決定に対して異議を申し立てることはできますか?↓
DRC裁判官を含むDRCの意欲的な決定に対して、控訴はローザンヌのスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提出する。スイス
提出期限も発生してから2年以内。控訴するにはCASに提出しなければならないことも知らなかった。勉強になる~~~。
主な種類
仲裁にも「労働争議」、「トレーニング報酬」、「連帯貢献」、「滞納債務」と分類されている。
また選手名らしきと番号があり
前者はその選手についての仲裁内容が閲覧できる。
後者は大事な部分(選手/クラブ名等)が匿名となっている。
恐らくこれは「Transfer Matching System(以下:TMS)」ではないだろうか?
TMSとはクラブとサッカー協会の間の透明性、効率、ガバナンスを改善することを目的されている
システムで2010年10月から義務化され実装された。
それなら全部とは言わんけど
みんな番号で統一されてるじゃないか?
と疑問を投げつけられそうだが
そこはわかり次第報告(リライト)する。
Samir Nasri(申立側)の場合
では具体的なケースを見てみよう。
元フランス代表「Samir Nasri」(申立側)は元所属クラブ「Antalyaspor」(被申立側)に対して年棒未払い分を求めて2018年10/19、FIFAに提出した。
Nasriはセビージャ在籍時にドーピング違反により6ヶ月間のサッカー試合出場停止を受けた上に
1年間フリーの状態だったので19年1/1にイングランド「West Ham United」に入団する間にDRCに訴えていた。
詳細によると17-18シーズンにおいて
- 未払い金額2,000,000ユーロを請求
- クラブに対してスポーツ制裁
またNasri側は合計金額の5%利息分も要求している。
結果的に弁護士「Pierre-Alain Guillaume」「Anna Pivin」の協力も実り
主張が認められ、クラブ側は2,000,000ユーロと利息5%を支払う判決となった。
どうなる?名古屋グランパスとジョーとの争い
つい先日名古屋グランパスは公式HPにおいて所属選手であったブラジル人「Jô」に対して正当な理由があると言うことで契約解除を発表した。
そして名古屋側はDRCにこの件について判断を委ねるとコメントしている。
この時点で必要な書類を全て集めてFIFA(DRC)に提出したものと思われる。
どこが争点になっているかが様々なメディアによっては微妙に違ったりするのだが
契約が残っているにも関わらず違約金を支払っていないと言われている。
無断でブラジルへ帰国したりと言動にも問題はあるが
移籍先である「Corinthians」側もどのくらい把握しているのか疑問。
また一部報道によると「Jô」は今年2月の膝の怪我あたりからクラブとの不一致が見られたとも。
「Jô」の弁護しているのは「BRENO TANNURI」というブラジルでも有名な方らしい。
※この2人はアスリート契約しているわけではないようだ。
Brenoは多少日本サッカーにも関係がある。
横浜Fマリノスでプレイする「Edigar Junio」等がクライアントとして活動している事務所
「Un1que Football」の顧問弁護士でもあるようだ。
どっちが申立側なのかも正直分かりにくい点でもあるが
少なくとも答えはNasriの件も踏まえて考えると判決は最低でも1年くらいは掛かると想定する。
どんな結末を迎えるのだろうか?
~終わり~
追記
今回のDRCはまだ付け加えてたり修正したりと複雑面が存在し
この記事に関して定期的にリライト(アップデート)していく必要があるかもしれないので
ご了承下さい。